伊坂幸太郎著、マリアビートルの一節。
まだ冬の前ではあったが、突如として流行りはじめたウィルス性の風邪の影響で、一週間の登校停止となった。次の週にも流感の猛威は弱まらず、さらにもう一週、閉鎖になった。感染の経路や潜伏期間、発症した場合に重症となる率などを検討することもなく、一定の人数が欠席したら自動的に学級閉鎖とすることを良しとしている大人たちが、王子には理解できなかった。リスクを負うことを恐れ、責任を回避するため、決められたルールに従う。そのこと自体を責めるつもりもないが、何の疑問も持たず、学級閉鎖を行っていく教師たちからは思考停止の愚かさを感じた。検討し、分析して、決断する能力がゼロだ。
物語の大筋には全く関係のないこの文章が目に留まったのはこの情勢ありきだろう。
10年前に発売された本の一節とは思えなかった。
仕事を辞めて、時間ができて、この時間も有意義に過ごしたいなあと考えて、本を読むことにしたのはつい一週間前のこと。
この本はインスタグラムで作家の好みが類似している方のレビューを拝見して興味を持ち、図書館で取り寄せた。
以前から伊坂幸太郎の描く物語が好きで、振り返ってみたら半分以上の作品はすでに読んでいた。
マリアビートルはグラスホッパーと同じ世界軸の話だったためか、始めは読んでいてすごく混乱した。
130ページまで読み進めたところで、衝撃の事実が発覚した。
読んだことある…。
昔から自らの忘却力には自信があったが、流石にひどいなあと思わず苦笑い。
オットにも「ひどい」と大爆笑された。
でも、ここまで読んだのだからと最後まで460ページ余りしっかり読破した。
そんなわけで図らずしも再読となったマリアビートルであったが、冒頭に記載したような以前はスルーしていたであろう文章に目が留まることが多く、自分自身の変化が特に興味深く感じられた。
忘れることも悪くないかも。
新しいものにどんどん手を出すのもいいけど、期間を置いて同じものに触れてみるのも悪くないかも。
時間って面白いな、なんて思った読書だった。
「検討して、分析して、決断する」この一連の流れを大切にしたいね。
続いて、同じ世界軸の話である「グラスホッパー」の再読および「AX」の初読に移ります。
絶対、続けて読んだ方が楽しいもんね。
…本当はグラスホッパー、マリアビートル、AXの順で読むべきこともわかってる。
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